昨晩見た夢は、記憶している中でも最も恐ろしいものだった。

自分は自律神経を患っている画家。静かな閉館した美術館で一人、女性の絵を描いていた。

その絵は白いキャンバスに鉛筆で下絵を描いていたはずなのだが、ふと気づくと、その絵が自分が描いていたそれとは全然違う、死んだような暗い目の女性の絵にすり変わっていた。真っ黒に塗りつぶされたキャンバスに白い線で。
不気味なその絵を見ただけでもゾワっとしたのだが、それよりも恐ろしかったのが、自分としては身に覚えもないのだが、実感として、それは確実に「自分自身が描いたもの」だと分かったことだ。

「発狂してその絵を描いた」という自覚が、強烈な生々しさを持って迫った時、自我が霧散するような言いようのない恐怖の感覚に突き落とされた。「狂う」という感覚の、体感。

そこで現実に揺り起こされたのだが、瞬間、自分でも呼吸が浅くなっていたことに気づく。

霊的な夢のがいくらかマシだったろう。自分で自分の心をコントロールできなくなる、という事は、本当に恐ろしいことだと、覚めてから思った。